リチウムイオンバッテリー(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー含む)向けのBMS回路基板のご紹介

この度、リチウムイオンバッテリー(電池パック)向けに弊社オリジナルのBMS回路を設計、開発しました。充電、接続されたバッテリーの残量管理および残量情報のシリアル出力機能を持ちます。このODS-BMSを応用し、1直列~4直列のバッテリー向けBMS回路基板に仕立てることが可能です。 ODS-BMSのコアは充電IC、残量計IC、マイコンです。充電は充電ICが、残量管理は残量ICが専門で処理しますが、これらの制御はマイコンで行っており、ファームウェアの変更により充電電圧や電流などを変更でき、様々な用途への応用を実現します

基本的な機能

  • 充電 (CV13.9V、CC3A)
  • 電圧保護(約14.6V以上で充電停止)
  • 温度保護(約0~45℃の範囲外で充電停止)
  • バッテリーの残量、劣化情報の管理とシリアル出力

残量測定について

残量測定は搭載している残量計ICで行っています。弊社実験では初回の充放電から誤差およそ4%程度で残量把握することができました。残量計のデータはODS-BMSのシリアルピンから取得することが可能です。

残量計について

残量測定についてにて初回の充放電から誤差およそ4%程度でと記載しましたが、これには理由があります。残量計は基本的に動作中は常にバッテリー状態を取得し、内部アルゴリズムと併せて残量や劣化情報を更新し続けます。一例として以下にグラフを示します。

グラフ1. 残量計が現在の最大充電容量mAh(FCC)を補正する様子
グラフ1. 残量計が現在の最大充電容量mAh(FCC)を補正する様子

これはあるバッテリーを4回充放電した際のログデータをグラフ化したものです。グラフに関する情報は以下のとおりです。

  • 対象バッテリー: 1セル、リン酸鉄リチウムイオンバッテリー、公称容量6000mAh
  • 赤いライン: 残量計の情報です。現在の最大充電容量mAh(電池関連の用語でFCC(Full Charge Capacity)と呼びます)を示しています。
  • 青いライン: 残量計の情報です。現在の残量%を示しています。定電流での充放電を行っているため、変化は直線になっています。
  • 緑の枠: FCCの変化部分を囲っています。これは充電末期に残量計がデータを更新していることを示します。

左端の緑枠は初回の充電のため変化が大きいです(残量計に公称容量6000mAhをセットしているため、動作初期は公称容量=最大充電容量=6000mAhとして動作します)。充電回数をこなすたびにFCCの変化量は減っていき、実際の容量(≒公称容量)とほぼ同値となります。この補正は残量計を使用している限り毎回行われます。FCCは、公称容量との比から、現在の劣化率を確認することが出来ます。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの充電の例

ODS-BMSで扱えるリチウムイオンバッテリーのセルの種類(正極)はコバルト系(LCO)、NCA系、NMC系(三元系)、リン酸鉄リチウム系です。多くの電池パックではコバルト系、NCA系、NMC系セルが使われていますが、ここ数年はリン酸鉄リチウムイオンバッテリーも多くなってきています。ODS-BMSもこの点を考慮して設計しました。ここではリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを2パターンで充電した様子をご紹介します。(充電の対象はリン酸鉄リチウムイオンセルの4S2Pバッテリー、公称12.8V/12Ahです。充電方式はCC/CV充電です。)

グラフ2. リン酸鉄リチウムイオンバッテリー充電パターン1 充電電圧14.4V(1セルあたり3.6V. メーカー指定の最大電圧), 充電電流4A
グラフ2. リン酸鉄リチウムイオンバッテリー充電パターン1 充電電圧14.4V 1セルあたり3.6V. メーカー指定の最大電圧), 充電電流4A

まずパターン1の充電(グラフ2)です。約11.3Vから開始した電池電圧は充電終盤で指定の14.4Vに達します。ここで充電電流は急激に落ち、充電終了電流まで低下したところで充電完了となりました。コバルト系などではCV電圧までの到達はもう少し早く、充電電流の降下はもう少し緩やかです。リン酸鉄リチウムイオンバッテリーでは他のいくつかのメーカーのものも↑グラフと同様の結果を確認しました。

次に、充電電圧を13.9V(セルあたり3.475V)に下げて充電を行ってみました(グラフ3)。充電電圧を下げることは電池の安全性を高めることにつながります。

グラフ3. リン酸鉄リチウムイオンバッテリー充電パターン2 充電電圧13.9V(1セルあたり3.475V), 充電電流6A
グラフ3. リン酸鉄リチウムイオンバッテリー充電パターン2 充電電圧13.9V(1セルあたり3.475V), 充電電流6A

パターン2(グラフ3)では充電開始から中盤にさしかかる前に指定の13.9Vに到達し、その後CC13.9Vで充電を行っています。充電電流は6Aから緩やかに降下し、指定の充電終了電流まで低下したところで充電完了となりました。注目したいのは緑ラインの温度です。パターン2は充電電流6Aと、パターン1よりも大きいですが、それでも電池自体の発熱は低くおさまっています。また、充電電圧を下げても、充電容量はそれほど下がらないことも分かります。

パターン1、パターン2のこうした比較により採用電池の運用方針を検討することもできます。例えば以下のような方針が考えられます。

  • 使い勝手を優先し、出来るだけ速い充電
  • 安全や寿命を優先し、低めの電圧で充電
なお、充電電圧や充電電流についてはハードウェア変更無し、ファームウェアの調整のみで変更が可能です。

ODS-BMSの残量計は正確な電圧、電流測定と内部アルゴリズムにて残量や劣化の推測を行っています。この電圧、電流測定値は残量計情報としてシリアル通信にて取り出しできるため、電池や機器の試作段階からご利用いただき、機器の消費電力の測定や、機器への組み込みの検討などに活用いただけます。


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